使用楽器

Antonio Stradivari 1718
“San Lorenzo Ex Viotti”

A.ストラディヴァリウス1718
“サン・ロレンツォ Exヴィオッティ”

現存するストラディヴァリウスは約600挺と言われている中で最もユニークな作品の一つである。
サイドには”GLORIA ET DIVITIE”という文字の痕跡があり、バスバーサイドには、“IN DOMOEIUS”というはっきりとした文字が残っている。
このフレーズは旧約聖書の詩篇第111章第3節からの引用で、元はラテン語で「Gloria et divitiae in domo eius et iustitiaeius manet in saeculum saeculi」(栄光と富は神の家にあり、神の裁きは永遠である)とある。簡略化した抜粋が前述の一節(栄光と富は神の家にある)であり、ルネッサンス期には繁栄と富を願い、この言葉を様々な形で絵画や彫刻に入れていた。
Antonio Stradivari 1718 “SAN LORENZO Ex Viotti”はそんな願いを込めてストラディヴァリウス本人が書いたものであり、その言葉の通り、他のストラディヴァリウスの作品にはない思いが込められていると考えられる。
文:日本ヴァイオリン